会社の備品や在庫を処分するとき、「少量だし、家庭ごみと一緒に出してしまおう」と考えたことはないでしょうか。
実はこれ、廃棄物処理法に違反する可能性がある行為です。担当者個人だけでなく、会社そのものが重い罰則を受けるケースもあります。
法人の不用品回収が家庭ごみとどう違うのか、どんなリスクがあるのか。知らなかったでは済まされない点を整理します。
家庭ごみと事業ごみ、処理責任がまったく違う
まず押さえておきたいのが「誰が処理責任を負うか」という点です。
家庭から出るごみの処理責任は市町村が負います。一方、会社や店舗、事務所といった事業活動から出るごみは別です。廃棄物処理法第3条により、排出した事業者自身が責任を持って処理する義務があります。
事業系のごみはさらに「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。たとえばオフィスの紙ごみは事業系一般廃棄物、金属くずや廃プラスチックなどは産業廃棄物として区分されます。どちらに該当するかによって、依頼すべき業者の種類も変わります(詳細は法令・自治体での確認が必要です)。
家庭ごみとの違いを整理するとこうなります。
| 項目 | 家庭ごみ | 法人の事業系ごみ |
|---|---|---|
| 処理責任 | 市町村 | 排出事業者自身 |
| 収集方法 | 自治体の定期収集 | 許可業者への委託が原則 |
| 必要な業者許可 | 一般廃棄物収集運搬業 | 一般廃棄物または産業廃棄物収集運搬業(区分による) |
| 集積所の利用 | 可 | 原則不可(自治体の特例がある場合を除く) |
| 法人への罰則 | 対象外 | 両罰規定で3億円以下の罰金 |
「少量だから大丈夫」が通用しない、罰則の重さ
「少量なら家庭ごみ集積所に出しても問題ない」という考えは、多くの自治体では通用しません。
事業活動から出るごみを家庭ごみ集積所に排出した場合、不法投棄とみなされる可能性があります。廃棄物処理法の罰則として、個人には5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(もしくはその両方)が定められています。さらに法人には「両罰規定」があり、会社そのものにも3億円以下の罰金が科されるケースがあるのです。
なお、環境省の資料では、少量の事業系ごみに有料ステッカーを貼ることで家庭ごみ同様に収集を認める自治体の例が紹介されています。ただしこれは全国共通のルールではなく、自治体ごとの判断によるものです。
「うちの地域はどうなのか」を窓口やHPで事前に確認することが、まず必要なステップです。
業者に頼んでも免責にならないケースがある
回収を業者に委託すれば安心、というわけでもありません。
専門業者の解説によると、委託した業者が不法投棄をしていた場合でも、排出側の事業者が廃棄物処理法違反として処罰対象になる可能性があります。「業者に渡したから自分には関係ない」という考えは、法律上は成り立たないのです。
許可の種類にも落とし穴があります。産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていても、一般廃棄物の回収はできません。公的機関の注意喚起によれば、一般廃棄物の収集・運搬には市町村が認可した一般廃棄物収集運搬業の許可が別途必要です。許可の種別を確認しないまま依頼すると、委託基準違反になるリスクがあります。
回収業者を選ぶ前に確認したい、許可証とマニフェスト
法人の不用品回収を依頼するとき、事前に確認しておくべきことが2つあります。
適切な許可を持っているか
扱うごみが事業系一般廃棄物か産業廃棄物かによって、必要な許可の種別が異なります。業者の許可証と対応エリアは、依頼前に必ず確認してください。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行があるか
産業廃棄物を処理する場合、マニフェストの発行・保管は法律上の義務です。書類の発行を省こうとする業者や、「無料回収」「格安」をうたいながら許可の確認ができない業者には注意が必要です。
自治体の窓口や公式サイトで許可業者の一覧を確認できることも多いので、少しでも不安があれば問い合わせるのが確実です。
まとめ:法人の不用品回収は家庭ごみとは別ルート、まず自治体への確認から
会社の不用品を処分するとき、家庭ごみと事業ごみの違いを正しく知っておくことが、罰則リスクを避けるうえで欠かせません。
事業活動から出るごみは排出事業者自身の責任で処理する義務があり、家庭ごみ集積所にそのまま出すことは不法投棄とみなされる可能性があります。
違反すれば法人には3億円以下の罰金が科されるケースもあり、委託した業者が不法投棄をしていた場合でも、排出事業者側の責任が問われます。
まず自社の所在地の自治体に事業系ごみの取り扱いルールを確認し、許可の種別とマニフェストの発行可否を業者に確認する。この2ステップが、不要なリスクを避けるための確実な方法です。

